最近の自動車業界では、安全装備や自動運転の性能アップが進んできています。事故を無くす技術、運転の負荷を軽減など、快適なドライブに役立つ機能がだんだんと出てきていて、より安全にクルマを運転することができるようになってきました。
自動車メーカー各社様々な装備を開発していますが、国内トップシェアのトヨタ自動車も気合を入れているところです。ようやく安全装備を広げるイベントを行うようになってきたので、参加してみました。
今回参加してきたのが安全装備の一つ、ICSの体験イベントです。ICSとはどのようなものかを実際にクルマに乗って体験できるということで、楽しみなところです。
トヨタの安全装備はTSSとICSの2つ
トヨタの衝突系の安全装備は大まかに分けて、TSS(トヨタセーフティセンス)とICS(インテリジェントクリアランスソナー)の2つがあります。
TSSは、走行中に前車や壁などにぶつかりそうになったら警告をしたりブレーキをかける、車線をはみ出そうになると警告する、前のクルマが発信したら教えてくれるなどの機能があります。
ICSは、停止時や徐行時に、ソナーで近距離に障害物があると感知すると、クルマを加速をしないようにしたりブレーキをかけるなどで衝突を防ぐ機能になります。
それぞれ役割分担があるので、両方あると安全性がより高いと言えます。
ICSの概要
ICSは前と後ろにあるセンサーを使って、近距離に
ICSはソナー(音波)で障害物を検知するもの
ICSの原理は、音波を発信して障害物から反射した音波を感知し、障害物との距離を把握するものです。コウモリが音波を出して障害物を察知したり、潜水艦が音波を出して障害物を検知して暗い中でも進めるのと同じ原理です。
光より速度が遅い音波を使う関係上、そこそこ近距離で低速なものに有効な機能になります。
発進時やごく低速時に役に立つ装備
ICSがどのようなときに役立つ装備かというと、クルマの前や後ろに障害物があるときに加速を抑える、低速時に衝突する前にブレーキをかける、といったところのようです。
体験でのICS
今回の体験会は、クルマに同乗してお店のスタッフが操作しているのを体感するという形です。
今回のクルマはプリウスPHVです。このクルマの助手席に乗って、ICSの動きを体感します。
ちなみに前後それぞれソナーセンサーが4つ付いているとのこと。こちらは左前。
後ろはこの位置にあります。このソナーセンサーで障害物を感知します。
という内容の説明を受けた所で、実際に乗り込んで体験タイムになります。やはり、初めての機能を目の前にするとわくわくするところです。
障害物から近距離の位置でアクセルを踏む
駐車場でのアクセルとブレーキの踏み間違いをイメージした体験プログラムです。
障害物に近づくと、センサーが障害物を感知します。
車内のインジケーターで、ICSが反応していることがわかります。この状態でアクセルとブレーキを踏み間違える動作を行います。
前方に障害物があるときにアクセルを踏むと、インジケーターに「加速抑制中」と出て車止めを越えないくらいの出力になります。この体験では前に障害物があるときにDレンジでアクセルを踏む時の動きですが、バックでも同じような感じになると思われます。
駐車場で前に急加速してぶつかるということがいくらか減らせると思われます。
障害物から離れる動きになれば警告が解除されて、通常の動作に戻ります。
低速で障害物に近づく
低速で障害物に近づいていったときに急ブレーキをかけるという、いわゆる自動ブレーキと言われる機能です。TSSで動作しない速度帯のはずですので、そういう低速時はICSの担当ということになります。時速15kmまでということなので、過信は禁物です。
体験会では時速8kmほどで行いましたが、クルマの徐行においては珍しくない速度ですのでどのように動くかがきになります。
障害物に近づいてくると、TSSと同じように直前にブレーキをかけるようにインジケーター表示がでます。そのままブレーキペダルを踏まないでいると、衝突寸前に急ブレーキがかかります。徐行中にフルブレーキをかける感じといえば良いでしょうか。
ギリギリまでブレーキをかけないので、低速ながらも急ブレーキをする形になるので、後頭部をシートにぶつける可能性がありますね。この体験会でも事前に後頭部を打たないようにシートにつけるように言われますので、後頭部をぶつけることは仕方ないと思っておきましょう。
体験した感想
衝突防止の安全装備を体感するというイベントは、実際のクルマで試すのも大変ですので、参加できるのであれば参加してみると楽しいと思います。
どのような働きをする機能かを体感することで理解ができ、安心だと思えるかもしれませんし、まだまだ足りないと思うかもしれません。ですが、無いよりはあったほうが良いと思いえる装備には違いありませんので、いずれ色々な車種に装備されていくのだと思います。
カタログやWEBでのイメージよりも、体感して理解するのが一番ということがよく分かるイベントでした。
どのような状況にICSは役立つか
近距離の障害物を感知するので、基本は発進時にアクセルとブレーキを踏み間違えるときに役立つ機能になると思います。
アクセル踏み間違いや不注視での事故が減る
コンビニの駐車場から発進するときに前進とバックを間違えてコンビニに突っ込むという事故はニュースで時々でてきますが、こういう事故の防止を想定していると思われます。
また、駐車場で後ろにクルマがいるのにバックしたり、発進時にいきなり目の前にクルマなどが出てきて衝突するのを防げるかもしれません。
全てのケースで動作するとは限りませんが、いくらか事故を防げる可能性がありますので、いざという時に助かる場面が出てくるかもしれません。
かもしれませんとしか言えないのは、事故を防ぐのは結局ドライバーの注意が必要ですので、そのサポートをする機能というくらいのものなのです。これはトヨタに限らず他メーカーでも同じです。
ICSが装備されるクルマ
全てのトヨタ車に付けられるわけでは無く、まだまだ車種は限定されています。
プリウス、プリウスPHV、アルファード、ヴェルファイア、クラウン系、プレミオ、ハリアー、アリオン、カムリ、カローラ等
になります。付けられるとは言っても、グレードによっては装備不可だったり、大抵はメーカーオプションだったりしますので、まだまだ搭載車は少ないかもしれませんね。
ICSまとめ
主に発進時の事故を防ぐことができるICSは、万が一アクセルとブレーキを踏み間違えるようなことが起きた場合に事故を防ぐことができるかもしれません。
アクセルとブレーキを踏み間違えるというのは、人生のドライバー生活において数回あるかないかですが、事故に関しては1回起こすのでも大変なことになってしまいかねません。危険な事故を起こしてしまう確率を減らすという点でICSはかなり有効な機能だと思いますので、より安全にクルマを使いたいのであれば、ぜひ付けておきたい装備だと言えます。
とは言え、オプション価格で10万円ほどしますので、それだけの価値があるかどうかはその人次第。一種の保険のようなものとして考えるかどうかですね。
体験会に参加した私としては、次回のクルマ購入時にICSが装着できるのであればちょっと検討することになると思いますが、ICSがある車種という条件で車を選定することは無いと思います。エスクァイアにICSが付いたら考えるというところです。
購入前にまずは体験会があれば参加してみて、どれだけ価値があるかを見極めてみると良いと思います。○