最近安全装備として、自動で衝突被害を軽減するブレーキシステムなど、直接事故時の被害軽減や回避を行うシステムを搭載することが当たり前になってきています。トヨタも以前からその手の安全装備は手がけていましたが、あまり知られていませんでした。
そんなとき、富士重工業(スバル)のアイサイトが大々的に世に広まって自動でブレーキをかけるシステムに注目が集まり、他のメーカーも追従せざるを得ない状況になりました。
そこでトヨタ自動車も更にシステムを作り直して「トヨタセーフティセンス」としてどんどん搭載車種を増やしています。トヨタ開発の主要車種には大体トヨタセーフティセンスが搭載されてきているので、安全性能もチェックするほうが良さそうです。
現在のトヨタの安全装備であるトヨタセーフティセンスの仕様がどのようなものかを見ておきましょう。
トヨタセーフティセンスの種類
2018/06現在、トヨタセーフティセンスは刷新され、以前のCとPに分かれていたものがなくなり、トヨタセーフティセンスという名称に統一されています。
車種によって装備している機能が違うということになり、Cだからこの機能、Pだからこの機能という選び方ができなくなっています。トヨタセーフティセンスの機能を車種選定に組み込んでいる方にとっては、少々やりづらくなっているかもしれませんね。
まだトヨタでの刷新が終わっていないので、公式サイト上ではセーフティセンスCやPの表記がありますが、順次セーフティセンスに統一してくると思われます。
ここでは便宜上、高機能版(次世代型)、通常版(旧トヨタセーフティセンスP)、普及版(旧トヨタセーフティセンスC)という区分けにしておきます。
トヨタセーフティセンス
次世代のセーフティセンスで、ミリ波レーダーと単眼カメラを使って対象を捉えるシステムです。
トヨタセーフティセンスPの次世代のものだけあって、新規機能や上位機能があります。
トヨタセーフティセンスC(旧)
主に低価格帯のクルマに装備されると思われるレーザーレーダーと単眼カメラを使って対象を捉えるシステムです。比較的安価にできるレーザーレーダーを利用してるので、いろいろなクルマにオプションとしてつけやすい価格となっています。
トヨタセーフティセンスP(旧)
結構枯れた技術であるミリ波レーダーと単眼カメラを使って対象を捉えるシステムです。ミリ波レーダーのシステムはかなり繊細なシステムなので高価になりがちです。
トヨタセーフティセンス基本的な機能
トヨタセーフティセンスシリーズの基本機能は以下のとおりになっています。
- レーントレーシングアシスト(ハンドル操作サポート)
- レーンディパーチャーアラート(車線逸脱警告)
- プリクラッシュセーフティ(自動ブレーキ)
- オートマチックハイビーム(自動ハイビーム)
- レーダークルーズコントロール(追従ドライブ支援機能)
- ロードサインアシスト(標識読み取りディスプレイ)
- 先行車発進告知機能(先行車発進アラーム)
それぞれの内容をみてみましょう。
レーントレーシングアシスト(ハンドル操作サポート)
車線の中央を進めるようにハンドル操作のアシストを行います。またレーンをはみ出しそうなとき、ステアリング補助を行ってレーンからはみ出さないようにもできます。
クルマのふらつきが大きい場合に注意をうながす機能もあるので、かなり高機能になっています。
セーフティセンスのみの装備で、後述のレーンディパーチャーアラートの上位機能となります。
レーンディパーチャーアラート(車線逸脱警告)
非常に言いづらい名称です(Lane departure alert:LDA)。日本語で車線逸脱警告になります。
カメラによって白線(黄線)を認識して車線を踏み越えようとした時に警告を出します。車線変更するときには方向指示器(ウィンカー)を使わないと、センターラインを越えるたびに警告音が鳴ることになります。たまに誤動作する時もあります。
セーフティセンスCおよびPの機能です。
プリクラッシュセーフティ(自動ブレーキ)
状態によって3つの動きがあります。
ブザーで警告
衝突の危険があると判断すると、ブザーとディスプレイで減速を促します。
プリクラッシュブレーキアシスト作動
ドライバーがブレーキを踏むと、そのブレーキをアシストします。軽くブレーキを踏んでもアシストによってフルブレーキに近い状態になり、クルマを減速させます。
プリクラッシュブレーキ作動
警告があってもドライバーがブレーキを踏まなかった場合、システムが衝突すると判断すればプリクラッシュブレーキが作動します。ブレーキを踏まずともフルブレーキがかかり、クルマを強制的に急減速させて衝突するときの速度を落として被害を軽減させます。
セーフティセンスにある機能です。CとPでは警告は行われますが、ブレーキアシストは忘れてください。
オートマチックハイビーム(自動ハイビーム)
クルマが暗い時に走行する場合、ライトを点灯なければなりません。通常使うライトは本来「ハイビーム」となっているのですが、対向車が来た時はロービームにして相手が眩しくないようにします。その行動を自動的に行うシステムです。カメラで光を感知して作動しますので、街灯などにも反応します。
オートライトではないので注意しましょう。オートライトとは「暗くなったら自動的にライトを点灯する」システムで、オートマチックハイビームは、ロービームとハイビームの自動切り替えです。
セーフティセンスには高機能のアダプティブオートマチックハイビーム、CとPがオートマチックハイビームを装備しています。
レーダークルーズコントロール(追従ドライブ支援機能)
セーフティセンスとセーフティセンスPのみの機能です。
ミリ波レーダーの有効距離の長さを活用して前方のクルマとの車間距離を一定に保つ機能です。例えば時速80kmで設定した場合、前にクルマがいない場合は80kmで走行して、前にクルマを確認したら前のクルマの速度に自車の速度をあわせて走行します。
全車速追従機能がある場合、前のクルマが停止しても自動で減速して自車も停止させます。
高速道路や自動車専用道路の想定ですので、一般道では使わないほうが良さそうです。
ロードサインアシスト(標識読み取りディスプレイ)
街なかの道路標識を認識する機能で、注意が必要な標識が出たらディスプレイに表示されます。
先行車発進告知機能(先行車発進アラーム)
信号待ちなどで停止中に、前にいるクルマが発信したときに鳴るアラームです信号待ちでウトウトしてしまった場合、かなり役立つかもしれません。
トヨタセーフティセンス、トヨタっセーフティセンスC、Pの機能的違い
ぱっと見ると同じようでも、違う機能があります。
普及版(旧C) | 通常版(旧P) | 高機能版 | |
---|---|---|---|
プリクラッシュセーフシステム | 歩行者非対応 | 歩行者対応 | 歩行者・自転車対応 |
レーントレーシングアシスト | - | - | あり |
レーンディパーチャーアラート | ステアリング操作機能なし | ステアリング操作機能あり | - |
オートマチックハイビーム | ノーマル | ノーマル | アダプティブ |
レーダークルーズコントロール | - | あり | あり |
ロードサインアシスト | - | - | あり |
先行車発進告知機能 | あり | あり | あり |
次世代のトヨタセーフティセンスが一番機能が多いです。次にトヨタセーフティセンスP、ついでCとなっていますね。
トヨタセーフティセンスになってから、他社と比べられる性能になってきた感じです。
装備車両(2018/07/05現在の新規販売車種)
トヨタセーフティセンスは車種によって装備するものは決まっています。
トヨタセーフティセンス高機能版
- クラウン
- カローラスポーツ
- アルファード
- ヴェルファイア
トヨタセーフティセンス通常版(旧P)
- カムリ
- プリウス(PHV含む)
- ハリアー(2017年~)
- マークX
- ランドクルーザー
- C-HR
- ハイエース・レジアスエース
- センチュリー
- MIRAI
- コースター
トヨタセーフティセンス普及版(旧C)
- アクア
- ヴィッツ
- カローラ(アクシオ、フィールダー)
- オーリス
- スペイド
- アベンシス
- シエンタ
- ポルテ
- ノア系(ノア、ヴォクシー、エスクァイア)
- エスティマ(ハイブリッド含む)
- アリオン
- プレミオ
- JPN TAXI
- プロボックス・サクシード
アルファード、ヴェルファイアは以前も独自の安全装備がついていましたが、セーフティセンスとしてようやく同じようなユニットになりました。独自の安全装備を次世代のセーフティセンスにしたという感じでしょうか。
これにより、他車にも組み込みやすくなりそうですので、より良い装備が新型に導入されていくかもしれませんね。トヨタの頑張りに期待したいところです。
まとめ
次世代のトヨタセーフティセンスが導入されたことで、ようやく他メーカーに追いついてきたというのが実情です。
我が家のエスクァイアにおけるセーフティセンスCの説明が他社と比べられると苦しかったのですが、多少まともになるかもしれません。
とはいえ、いくら他社に追いついてきたとは言っても、この手の安全装備は万能ではないのです。
プリクラッシュセーフシステムのような、緊急作動するブレーキシステムは搭載していれば運転時に存在することを意識する必要はありません。
何らかの理由で危険が迫った時に作動するものですので、ドライバーは普通に運転しなければなりません。
ドライバーの運転を補助するシステムなので、過信せずにドライバーがきちんと注意を払ってクルマを運転しましょう。
普段は使わないけれどいざというときに役に立つ(かも知れない)システムは、言ってみれば「自動車保険」と同じようなものですから。