ハイサンソ3R

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家族の呼吸が困難に。在宅酸素療法(HOT)が始まった

我が家には後期高齢者医療制度対象の高齢者がいます。介護を見越して去年引っ越して一緒に暮らし始めたのですが、肺の疾患が進んで次第に呼吸困難になってきました。

そして引っ越ししてきてから1年、とうとう我が家でも在宅酸素療法を取り入れることになりました。呼吸による酸素がうまく体内に取り入れることができなくなって、普段の生活に影響が出るような場合に取り入れられるものです。酸素が足りなくて苦しい状況が、高濃度の酸素を肺に取り入れるので楽になるということですね。

ターミナルケアを含めたこの先の流れの一部として在宅酸素療法について書いておきたいと思います。

在宅酸素療法(HOT)とは

在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy)は、何らかの原因で呼吸によって酸素十分に取り込めない人が行う療養です。酸素が足りなければ、頭がボーッとしたり、身体も動きにくくなったりと支障が出るので、普段から酸素を多めに摂取して体内に酸素を送りやすくするという目的で行われます。

簡単に言えば、普段から酸素不足の人が家で酸素を多く取れれば普段も元気になるという理屈の療養になります。

これは自分で行うのではなく、医師の診断のもとに行われるので、かかりつけの医者が必要と認めれば在宅酸素療法を保険で行うことができます。

在宅酸素療法で使うもの

在宅酸素療法では、自宅に酸素を患者に供給する装置が設置され、大まかに分けると2種類あります。

  1. 酸素濃縮装置+酸素ボンベを使う
  2. 液体酸素を使う

という方法で、一長一短がありますので、健康状態や生活状況に合わせたものを利用することになります。

我が家で導入したのは酸素濃縮装置です。機器は帝人のハイサンソ3Rという機種で、簡単に使える操作ができる使い勝手が良い機種になります。ケータイで言うところの簡単ケータイのような感じでしょうか。それと酸素ボンベも3本導入して、外出に備えます。家にいるときは酸素濃縮装置を使い、出かけるときや停電時には酸素ボンベを使うことになりますね。

酸素濃縮装置について

酸素濃縮装置(酸素濃縮器とも)を使う方法は、どちらかと言えば軽症の方が使うことが多いタイプです。空気中から酸素を集めて高濃度の酸素をチューブから流す酸素濃縮装置を使って肺に酸素を取り込んでいきます。

 

軽めの呼吸困難などの方はまずは酸素濃縮装置のタイプを使うことになるでしょう。また、外出などで酸素濃縮装置が使えない場合は酸素ボンベを持ち歩くという方法になります。

 

酸素濃縮装置の仕組みとしては、普段の空気に8割ほどある窒素と2割ほどの酸素を分離して、酸素を高濃度にしてチューブで外部に供給し、窒素は別のところから排気するものになっています。空気中の酸素を集める機械ですので、特に酸素を作るための材料の心配は無く、電気があれば酸素を集め続けることができます。

酸素ボンベは、酸素濃縮装置を使えない場所で酸素を供給するためのものです。通常キャリーについたバッグの中に酸素ボンベを入れて使います。

酸素ボンベキャリー

酸素ボンベにレギュレーターが付いていて、さらに呼吸同調器が付いています。そこにチューブがついているので酸素濃縮装置と同じようにカニューラを鼻に付けます。

呼吸同調器

呼吸同調器は、鼻から吸ったときに酸素を供給する装置で、使わないときよりも無駄に流出する酸素が減るので酸素が長持ちします。

こんな酸素濃縮装置+酸素ボンベによる酸素供給の特長としては以下の通りです。

メンテナンスフリーで扱いが楽

酸素濃縮装置は基本としてメンテナンスフリーの機械なので、壊れたり性能低下がない限りはずっと使いつづけることができます。家で使っているだけであれば簡単なフィルター清掃をするのと、酸素濃縮装置から送られる酸素を供給するために身体につける管(カニューレ、カニューラ)を交換するくらいの手間だけで済みます。

あとは排出する酸素量の調整をすれば特にやることはありません。

電気代がかかり、停電すると使えない

酸素濃縮装置は電気機器なので、100Vの家庭用電源が必要です。つまり、電気代が月に数千円ほどかかるということと、停電になると使えないというシンプルで重要なことが起きることがあります。その場合は、外出時は緊急時に使う酸素ボンベを利用してやり過ごすことになります。

あまりに多い酸素量は対応できない

酸素濃縮装置は便利ですが、必要な酸素の量が多い方には使うことができません。機種にもよりますが概ね毎分3~5リットルほど。とは言え、医師が指定する流入酸素量で動かすのが原則ですので、それに従えば問題はありません。

酸素ボンベを使ったら交換してもらわなければならない

酸素濃縮装置だけですと停電時に使えなくなるので酸素ボンベも併用することが多いと思います。その酸素ボンベは酸素濃縮装置で充填できないものなので、業者に連絡して酸素ボンベを交換してもらうことになります。

外出時や病院通いのときも使うのであれば、1週間に数回交換してもらうことになる場合もありますので、引き渡しなどを上手くする必要があります。酸素ボンベはあると無いとでは安心度がかなり違うので、できれば常備しておきたいところです。

液体酸素について

在宅酸素療法でのもう一つの方法が液体酸素です。液体酸素ボンベの親機を家の中において、携帯用の液体酸素ボンベに液体酸素を充填しながら使うことになります。イメージとしては、スキューバダイビングで使う酸素ボンベと基本は同じです。酸素を充填してその分だけ酸素を吸入することができるようになります。

こちらもメリットとデメリットはあります。

高濃度の酸素を高容量で使うことができる

酸素が大量に必要な重症の方でも対応できるくらいの酸素を供給することができます。液体酸素を利用するので出て来る気体は原理上酸素100%なので言うまでもなく高濃度ですし、さらに揮発する量をコントロールすれば大量の酸素を排出することも可能です。

停電でも使える

高濃度が必要な方の場合、酸素が供給できなくなると危なくなる場合がありますが、酸素濃縮装置とは違って電源は必要ないので、停電になっても問題なく利用できます。停電の心配が要らないのはかなり重要なのですね。

子機が軽量

酸素濃縮装置の場合は酸素ボンベと併用しますが、酸素ボンベはかなり大きくて重いのです。一方液体酸素を使う場合は子機が小さくて肩掛けカバンに入るくらいの大きさで、2kgあるかどうかという重量もあり、使い勝手が比較的良いのです。小さくても10時間など長時間使えるのを考えると、よく出来ていると思いますね。

親機ボンベの交換が必ず必要

液体酸素を使っている以上、使えば必ず容量は減ります。使い切るまでに液体酸素ボンベを交換する必要があるので、定期的で大掛かりな交換が必要となります。

常に充填する時間を把握する必要がある

液体酸素を充填して使うという特性上、次に充填する時間を把握しておく必要が常にあります。液体酸素を利用する方は重症の方も多いので、液体酸素充填を最初に考えながら移動や生活を送ることになります。

使えない地域がある場合も

液体酸素を扱っている業者が近くにないエリアがあったり、すぐに届けられない場所にあるときもあります。液体酸素の残量が無くなる前に交換ができるように気をつける必要もありますので、結構管理が大変かもしれませんね。

充填作業が大変

親機の液体酸素を子機に移す作業が結構癖が多いです。革手袋などで凍傷予防をしたり、漏れたときはしばらくまってからやり直したりと、なかなか大変です。

飛行機で使えない

子機とはいえ液体酸素ボンベになるので危険物扱いになり、航空機に乗ることができません。とは言え、親機が無ければ使えないので飛行機に乗るほどの移動は事実上難しいのであまり考えないで良いかもしれません。

申請から導入までの流れ

導入としては、もともと肺に疾患があったのですが病状が悪くなったので、主治医に在宅酸素療法を導入することを伝えます。医師の診断がなければ導入はできませんので、ちょっと使ってみたいというようなことはできません。病院側が用意した申請書に必要事項を記入して、あとは病院が在宅酸素機器を扱う業者とやり取りを行います。

その後、在宅酸素機器を扱う業者から連絡が来るので、いつ家に設置するかどうかを確認の上で持ってきてもらいます。

家に装置を設置してもらい、基本的な使い方のレクチャーを受けて確認書に印鑑を押すと使用開始になります。

我が家での事例

病院で申請したのが午前中だったのですが、業者から連絡があったのが申請から1時間後くらい。午後いちであれば空いているということで、申請から数時間で家に設置できたというなかなか珍しいスピード設置になりました。普通は数日後に設置になるので、非常にありがたかったです。

導入装置

我が家で導入したのは酸素濃縮装置です。機器は帝人のハイサンソ3Rという機種で、簡単に使えるのが売りの使い勝手が良い機種になります。ケータイで言うところの簡単ケータイのような感じでしょうか。重症ではないので毎分3リットルまでの高濃度酸素を供給する機器で、自動的に供給する酸素に含まれる湿度を高める機能があります。

圧縮して酸素を取り出す機構上、水分も空気から抜けるので排出する高濃度酸素はかなり低いのです。そのまま体内に入れると鼻腔内などが乾いてしまうので、加湿する必要があるのですね。それを自動で行ってくれるのがハイサンソ3Rの良いところです。

それと酸素ボンベも3本導入して、外出に備えます。家にいるときは酸素濃縮装置を使い、出かけるときや停電時には酸素ボンベを使うことになりますね。

設置場所

我が家はもともと注文住宅として、介護を見越したバリアフリーで設計して建てられています。ですので、平屋でリビングが広め。個室は基本なしという最近の家で少数派の作りになっています。

酸素濃縮装置はそのリビングのほぼ真ん中。チューブを取り回しやすいように風呂場やトイレやダイニングテーブルに行きやすい場所にしました。チューブは10m以上に伸ばすことができるので、設置する時にどこに置くかを指定すれば十分家の中を回れるくらいの長さにしてもらえます。

酸素濃縮装置から出ているチューブは足で引っ掛けやすいので、本人を含んだ家族全員が注意して引っこ抜かないようにしなければなりません。帝人の方も、足にチューブを引っ掛けるくらいなら踏んだほうが良いと言っていましたので、引っ掛けるほうが問題が多いということがわかります。

使う状況

基本は一日中付けることになるので、常にチューブの取り回しをしながら動くことになります。医師の指示によって供給酸素量が決まりますが、我が家では通常(安静時)が毎分1リットルで、動いているときは毎分2~3リットルになっています。ハイサンソ3Rではダイヤルですぐに量を調節できるので楽ですね。

使用上、特に気をつけるのがチューブの扱いで、トイレや風呂場を使うときはチューブをドアで挟み込まないようにする必要がありますし、足で引っ掛けないように注意するのも常です。逆に言えばそれ以外はあまり気にするところがないので、慣れれば問題無い感じですね。

機器の故障は別にして、外出しない限りは補給などを行う必要が無いので、酸素濃縮装置は家にいる限りは非常に使い勝手が良いと思います。

考えられる制限

在宅酸素療法に入ったのですが、これは基本的に一生続くものになります。ですので、遠くに行くというのはかなり難しくなります。酸素濃縮装置は持ち運びが認められていませんので、遠方に行く場合はホテルなどに酸素濃縮装置を導入して貰う必要があります。さらに酸素ボンベも長い時間持つわけではないので、遠方での行動も基本できなくなります。

簡単に言えば、旅行に行くにも、ホテルに酸素濃縮装置を設置してもらうという事前の準備が必要になり、さらにそこからの移動もかなりの制限がかかるということです。ですので、自宅から行ける距離というのが基本で、外泊は難しいことになりますね。

結局は、在宅酸素療法は治療の一環ですので、無理はできないということでしょう。

これからの流れ

肺の疾患ですので、良くなることは期待できません。

この先、どれだけ苦しまないようにするかという点が重要になってきます。肺の疾患は重篤になってくるに従って段々と苦しくなってきますので、そこをできるだけ緩和できるように努めていくことになるでしょう。

できるだけ家族が元気でいられるように、どのくらいのことが出来るかはわかりませんが、精一杯考えていきたいと思います。○

  • この記事を書いた人

タコわさび

介護を見据えて平屋を建てて、自宅で働くように。後悔なく生きるために、様々なことを模索しています。 簡単なプロフィール プライバシーポリシー

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