日本経済において、領収書は切っても切れないものです。お金のやり取りを証明する書類として必要になることもあり、場合によっては無くすと大変になることもあります。
ですが、普通の生活をしている上では、領収書をもらうことはあっても、書いて渡すということは金銭をやり取りする仕事でなければ結構珍しいかもしれません。しかし、いざというときに相手側からの要求で領収書を書いてもらう場合がでてくると、どうやって書けばわからなくなることもあるかもしれません。
領収書を書く場面は、いつも領収書を書くような仕事をしている人でなければ、いきなりかけと言われてもすぐに書けなくて不安になってしまいます。そうならないためにも、一般教養としても領収書の最低限の書き方を覚えておきましょう。
領収書とは
課税物件表第17号文書(金銭又は有価証券の受取書、以下領収書)のことで、カッコ内の通り、お金や有価証券を受け取った証明として渡す受取書のことです。これが一般的に「領収書(証)」と呼ばれるものです。
コンビニ、スーパーなどで出てくるレシートも領収書と言えば領収書のはずですが、税法で決められている「受取書」の条件を満たしていない場合があります。そういうレシートは、会社の経理では使えませんので「領収書をもらってきて」と言われることとなります。
税法上有効な「領収書」であれば、経理にも出すことができるので(理論上)、覚えておいて損は無いと思います。
領収書に必要な要件
第17号文書として認められる条件というものがあります。これが満たされていれば、手書きのペラ紙でもレシートなどでも立派に認められます。ですので、「領収書」と書かれていなくても問題なく、あくまでも「金銭などの授受の証明」ができるものであれば良いのです。
逆に、納品書などにおいて「支払いの受領印」を押されていると、要件が揃えば第17号文書として認められることがあり、そうなると印紙税が発生しかねません。要件にそった書面にかかるのが印紙税ですから、あまり無いケースとはいえ注意しましょう。
項目
- 受領した年月日
- 相手の名前
- 金額
- 但書
- 自分の名前、住所
これがあれば領収書として認められます。そして金額が50,000円以上では印紙税がかかるので収入印紙を貼らなければなりません。
受領した年月日
取引が行われた年月日です。平成28年1月1日などの表記で問題ありません。
相手の名前
金銭を渡した側の名前です。名前は正確に書く必要があります。(株)などもできるだけ株式会社など本来の表記にしましょう。
金額
受領した金額を記載します。¥1,000- 金5,000也など、桁数の操作などの不正が行われないような書き方をします。
但書
何に対して支払ったものかの内容を書きます。品名やサービス名などですね。「品代」はできるだけやめましょう。
自分の名前、住所
領収書を発行する人の名前と住所を書きます。そして名前の判を押します。
これにより、「いつ、誰から誰に、何に対していくら支払った」という条件が揃います。
収入印紙を貼る
額面50,000円以上ですと印紙税がかかり、収入印紙を貼らなければなりません。収入印紙を貼って割印(消印)を押すことで印紙税を払ったことになります。
ですが実のところ、収入印紙を貼らなくても領収書としては有効です。しかし、脱税になりますので、印紙税分+印紙税の2倍の額(過怠税)=印紙税の3倍額を支払わなくてはならなくなります。
収入印紙が必要になる額が以下の通りです。
記載金額 | 課税額 |
---|---|
5万円未満 | 非課税(収入印紙不要) |
5万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円超200万円以下 | 400円 |
200万円超300万円以下 | 600円 |
300万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 2,000円 |
1,000万円超2,000万円以下 | 4,000円 |
2,000万円超3,000万円以下 | 6,000円 |
3,000万円超5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 20,000円 |
1億円超え2億円以下 | 40,000円 |
2億円超え3億円以下 | 60,000円 |
3億円超え5億円以下 | 100,000円 |
5億円超え10億円以下 | 150,000円 |
10億円超 | 200,000円 |
消費税込みか消費税抜きか、と迷いますが、「税込額、税抜額、消費税額」がわかれば「税抜額」が適用されます。消費税額が明確でないものですと全体の額である「税込額」となります。
¥53,784-(税抜¥49,800、消費税¥3,984)と表記があれば「49,800」が適用され、印紙税はかかりません。
¥53,784-(税抜¥49,800)と表記があれば消費税額は簡単に計算可能なので「49,800」が適用され、印紙税はかかりません。
¥53,784-(税込み)と表記があればすぐに消費税額がわかりませんので「53,784」が適用され、印紙税は200円かかります。
印紙税は結構馬鹿にならないので、覚えておきましょう。
クレジットカードでの「領収書」
お金や有価証券ではなく、「クレジットカードでの支払い」でも「領収書」が出てくる場合があります。この場合はどうなるでしょうか。
クレジットカード支払いの場合は、出てくるのは領収書ではない
クレジットカードでの支払いは、お金や有価証券のやり取りではありません。理由は、クレジットカード会社が建て替えて支払う形になりますので、カード所有者がお金をやり取りしたのではないということです。よって、カードを使って発行されたレシート等は、領収書ではないのです。たとえ「領収書」と書いてあったとしても「領収書」ではなく「カードの利用控え」になります。
領収書ではないので、印紙税ももちろんかかりません。
ですので、クレジットカードの利用明細と利用控えを合わせて領収書としての効力を持たせること、つまり支払ったという証明をします。大抵のお店では、購入したものやサービスのレシートとクレジットカードの利用明細を合わせて渡してくれるはずですね。
まとめ
領収書として書く内容は
- 受領した年月日
- 相手の名前
- 金額
- 但書
- 自分の名前と住所、押印
で、金額によって収入印紙を貼ります。もし書き損じたら、不正を疑われないように新しく書き直しましょう。「領収書として使えるレシート」を参考にして、何を書かれているか見なおしても良いかもしれませんね。
いきなり領収書を書くことになって慌てるより、書き方を覚えておいていざという時に書けるようにしておくと、「この人できる人かな?」と思われるかもしれませんね。
ちなみに、現金ではなく物品のやりとり場合は、一般的に使われているのは領収書とは言わず「受領書(証)」と言ってますので、これとはまた別の話になります。
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